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エミリアからの便り
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北イタリアはエミリア州のモデナから、日々の暮らしを綴っています。リンクフリーです。
by emilia2005
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一輪の薔薇 (Rosa)
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薔薇をこよなく愛する姑の家の庭には、春から晩秋にかけて色とりどりの薔薇が咲く。母の日や家族の誕生日や結婚記念日になると、夫は私に渡すために、彼女の庭から薔薇を一輪失敬してくる。姑や舅が若かった頃、デートの日に必ず舅は、自宅の庭で摘んだ一輪の薔薇を携え、自転車を漕いで姑を迎えにやってきた。「いつも1本だったのよ」と、その話をするたびに(もう何度も聞かされている・・・)、姑はふっくら微笑む。



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姑は20代の頃、陸軍士官や士官学校の制服を仕立てる縫製会社で、3人の若いお針子さんを従え働いていた。制服だけでなく、民間の紳士服をも請け負っていたので、若い男性との出会いがあったらしい。そんな彼女の前に現れたのがウンベルトだった。端整な顔立ちに胸をときめかせた姑は、出来上がったウンベルトのスーツのポケットに、メッセージカードをそっと入れた。気がついてくれるかしら?数日して彼からデートに誘われた。彼女はその恋に夢中になった。映画やダンスやサイクリングに行ったり、お互いの家を行き来したりするうちに月日は流れる。彼女はウンベルトに魅力を感じなくなり、次第に付き合いにも嫌気がさしてきた。恋の熱は冷めた。ある日ウンベルトは友人とミラノへサッカーの試合を観に行くという。サッカーに全く興味がなかった彼女は、渡りに船とばかりに、女友だちを誘ってダンスに出かけた。



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そこで出会ったのが舅だった。言葉を交わし一緒に踊ったあと、その日の夜は家まで送ってもらった。あるとき姑と舅がデートでモデナの旧市街を歩いていると、ばったりウンベルトに会った。お互いに軽く会釈をして通り過ぎる。その後ウンベルトとの関係は自然消滅した。姑が結婚して3人の子の育児に追われていた頃、一度だけ郊外でウンベルトらしき男性を見かけた。5歳くらいの少女を自転車の前に乗せて走り去っていった。「生きていたら85歳くらいだわねぇ。どこでどうしているのかしら?」 彼女はほんのり頬を赤らめながら小さく微笑んだ。「歳をとると思い出の中に生きる時間が長くなるわ。戦争を体験し、愛する3人の兄弟たちを次々に亡くす悲しいこともあったけれど、私はこんなにも幸せ者。可愛い5人の孫に囲まれ、素晴らしい思い出がたくさんあるから。」

という話を初めて聞いたときには、若かりし日々の姑の甘酸っぱい思い出にほろりとしたが、何度も聞かされると、う~む。「また始まったな」(苦笑) 相手が母だったら「ああ、その話はもう何回も聞いた!」とバッサリ切り捨てる冷酷な娘だが、「年寄りはねぇ、同じ話を何度も繰り返すから。辛抱してね」と姑に懇願されると、何だか申し訳なくなってしまう。そして毎回その話を初めて聞くかのように膝を乗り出して耳を傾け、要所要所&佳境にさしかかる所で、気のきいた合いの手を入れる。昔の思い出を嬉しそうに話す姑を見るのが、好きだ。
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by emilia2005 | 2009-10-30 00:10 | 人・音・美・TV...
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